閉じ込めて。

もっともっと狭いトコロへ。

そう、たとえば貴方の腕の中だとか。




















雨が降り注ぐ午前2時ちょうど。

秒針がたった今、1時の終わりを知らせた。

は規則的に、だけど確実にずれていっている時計を見つめたまま。

体は貴方の隣で横たわる。










「・・・三蔵」





「・・・・・・・・・・」










同じく横たわる貴方の姿は、淡い月光の後光を受けている。

陽光の下の金色とは反対に、儚さばかりを帯びた金。

ゆっくり手を伸ばして、ほんの少し金糸に触れる。

ちょっとだけ硬い綺麗な糸。










「・・・・・・・・・・」










三蔵はを見つめ、が髪に触れて数秒経つと抱きしめた。

暗く、冷たい月光が達の姿を浮かび上がらせる。

何かを求めるように、ただ離すまいとしている様に、三蔵はをきつく抱きしめた。

この痛い抱擁は、その2つのどちらの意味も持っている気がする。










「・・・・・は、置いていかないよ」










ええ、置いていきませんとも。

たとえ貴方を庇って大怪我をしても、貴方が逝くなと言うならば、は決して逝きません。

貴方が他に良いヒトを見つけて、が必要なくなるまで。

が貴方のお荷物になるまで。

それか、貴方が先に逝ってしまうまでは。

決して置いていきませんと、この世の頂点に立つ者に誓いましょう。










「三蔵が先に逝ってしまうまで、は隣で生きていくよ」










緩んだ両腕。

解かれていく、拘束。

少し感じた、虚無感。










「・・・先に逝きやがったら、亡骸は蜂の巣するぞ」





「それはもう、貴方のお好きなように」










小さくクス、と笑って。

貴方の頬に掌を滑らせて言った。

この命は貴方の為に在るのです。

すべて、貴方の好きな様に致しましょう。










だから、どうか捨てないで。

そういう思いが何処かにあるのは、貴方に見透かされているのだろう。

失う事を一番恐れているのはかもしれない。

以外に子供な貴方より、の方がずぅっと。










・・・愛してる、っつーのは、うすっぺらいな・・・」





「うん、うすっぺらい。紙なんかより、何億倍もうすっぺらいよ」





「・・・言葉に出来ない、なんて単語も、うすっぺらい」





「うん、全部うすっぺらい」










そう言ってしまうと、この感情を表すタメの言葉なんて1つも無いのだけれど。

達には言葉なんて要らないのだろう。

いや、言葉なんて要らない、なんて言葉もうすっぺらいか。










「・・・・・・」





「・・・なぁに?」










結局、達にはこれしかないのだ。

言葉なんかよりも確実に満たされる、この営みしか。

何度体を重ねても足りないけれど、これが一番の方法だと。

少なくとも達は思っているわけで。










またこの雨の日も、達は薄暗い部屋で互いを求める。

体が疲れ果てるまで。

雨が止むまで。










そしてまた、次に雨が降る日には、同じ事を繰り返す。
























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