嗚呼、もどかしくて狂ってしまいそう。
それはある日唐突なコト。
闇色真っ黒なの視界に、鮮烈な紅が走った。
弧を描くように描かれた無造作な一本の紅は、を巻き込んで。
目の前で―――を、コロシたの。
「・・・・・・」
肩で息をしながらに手を差し伸べる貴方。
はこのヒトを知っている。
遠い遠い、何千年も前に別れた様な錯覚を起こさせる、遠いヒト。
でもは差し伸べられた手を取る事は出来なかった。
嫌なんじゃない、の腕は動かないの。
目の前で唐突に起きたこの出来事、の脳では追いつけないわ。
「・・・っ逢いたかった・・・」
貴方はをぎゅぅっと抱きしめた。
その両腕は、前に共にいた時よりも優しくて。
話せず、動けないを、コワレモノを扱う様に抱きしめた。
けれども強く、もう逃がさないと拘束する様に。
「ずっと、探していた・・・」
耳元で紡がれていく言葉は、震えている。
何に、だろうか。
紅を見た興奮に、快感に?
それとも、を見つけられた事に?
後者がいいなと、涙を流す事なく言葉を噛み締めるは、そんな自惚れた事を考えた。
自惚れれば自惚れるほど、ツバサを失くした鳥の様に堕ちてしまうのに。
嗚呼、なんと愚かな事。
「・・・ハッ・・・震えてやがる・・・」
何に?
お願いだから、貴方の口から震えの理由を教えてちょうだい。
の自惚れ通りなら、今すぐ貴方を抱きしめられそうよ。
「・・・・・に、逢えたから・・・」
嗚呼、どうして貴方はの期待をまっすぐに打ち抜くのでしょう。
けれどごめんね、の両腕は動かない。
は貴方の期待を打ち抜けやしないのね。
貴方の両腕は益々力がこもっていくのに、は貴方を同じく抱きしめてあげられない。
無力。
「・・・どうして、泣いてる・・・・・・」
ふと腕の拘束が緩んで、心地良さに閉じていた目を開けば貴方の顔。
切なげに眉を寄せての目じりを長く骨ばった指で拭う。
泣いている?
誰が?
「・・・怖かったのか?」
違う、違うの。
怖いんじゃない、怖いんじゃないの。
―――を失った事なんて、全然怖くない。
無力な自分を嘲笑っているの。
それから、それから。
貴方にもう一度逢えたのが、死ぬほどに嬉しいから。
抱きしめる事も言葉を発する事も出来ないから、貴方に涙で伝えているの。
これは嬉し涙。
”死ぬほど”って単語じゃ本当は足りないの。
この嬉しさを表現なんて出来ないの。
嗚呼、どうしてこうも言葉は少なくて窮屈なの?
誰かこの嬉しさを表すタメの至高の言葉を作ってちょうだい。
好きよりも、愛してるよりも、もっともっと、上の言葉を作ってちょうだい。
そしたらは声が枯れるまで、喉が裂けるまで貴方に言い続けるわ。
「・・・・・おまえも、”嬉しい”と、泣くのか」
どうしてだろう、貴方には解ってしまう。
は貴方の行動の意味を理解し得なかったのに。
どうして貴方は、いとも簡単にを理解してくれるの?
きっと貴方はのすべてを理解している。
貴方にはの知り得る限りのをすべて見せたから。
の知らないも、きっと貴方はすべて知っているのだろうけれど。
「・・・・・、っ・・・」
嗚呼、もどかしくて悲しみの涙も溢れてきそうだよ。
どうかに言葉の欠片だけでも言わせて。
目の前の愛しいヒトにどうか、言葉という名の甘美なる音を。
「・・・出ないなら無理してんじゃねェ、クズが」
もう一度、貴方はを抱きしめた。
抱きしめられる瞬間、貴方の辛そうな顔が見えたよ。
いっつも酷いクセして、実はすっごく優しいんだよね。
貴方が辛そうな顔をしたのは、が無理をする姿を見たからだって、これは当たってるよね、きっと。
だって貴方は誰よりも、本当は優しいから。
久しい愛しいヒトとの再会の傍らには、―――の、シタイ。
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